• 半夏生

  • 梅雨の終わりを表す言葉としてよく目にする「半夏生」の文字。夏至から数えて十一日目、もしくは十一日目から五日間までの期間を指す雑節の一つです。昔はこの半夏生を目安として、農家は田畑の仕事を終わらせ少しの間、休む習わしがあったようです。そしてこの半夏生には蛸を食べる風習があるのをご存知でしょうか。主には関西地方の習わしとされているようですが、蛸が食べられる由来となったのは、「田んぼの稲の根が、蛸の足のように四方八方に広がり根付きますように」といったものや、「稲穂が蛸の吸盤のようにしっかりと実りますように」といった農家の方の願いからのようです。どこの地方にとっても梅雨明け直前となる半夏生の時期は特に雨が多く「半夏雨」と呼ばれるほど。やっと田植えを終えた稲が立派に育つよう、雨空の下、祈らずにはおれなかったのでしょう。蛸にはそんな農家の方の切なる願掛けだけでなく、疲労回復や血行促進など体に嬉しい効果も期待されます。先人たちは田植えで疲れた時期に体を休め、蛸を食べることで元気を取り戻すという、実に理にかなった知恵をもって、梅雨明け間近の雨がひどく体力も奪われがちなこの期間を賢く乗り越えていたのですね。