• 中秋
    十五夜の月見団子

  •  うだるような暑さが続いた今年の夏でしたが、ひと雨ごとに秋の気配が色濃く感じられるようになってきました。空気も澄み、いわし雲が秋の高い空に白い斑点を散らせます。秋分を境に日に日に夜長となり、やがて来る冬へ向かい寒さも増していきます。もともと農耕民族であった私たち日本人は、月の満ち欠けで月日の流れを知り、農事を行ったため、とりわけ月は古く日本の暮らしの中ではかけがえのないものでした。九月二十七日(旧暦八月十五日)の十五夜の満月は、日本ならではの月を祀る習わしと、中国の唐の時代に満月を愛でる月見の祭事が合わさり、大切な節目とされて広まりました。秋のさえざえとした夜空に浮かぶ満月は、美しい満月のなかでも特に名月とされ愛でられます。欠けが無く、まあるく大きく輝く満月を豊穣の象徴とし、秋の実りに感謝して祈りを捧げるのが「十五夜のお月見」です。お月見には、たわわに実った稲穂に見立てたすすきを飾り、その年に収穫した栗や芋、大豆とともに、お飾りの中心には満月に見立てたお団子を備えます。この月見団子は月をうつしていますから、特に大切なもの。三方に奉書紙を敷き、一段目に三×三の九個、二段目に二×二の四個、そして一番上に二個の団子を縦並びさせて十五個飾るのが本来の並べ方です。十五夜の日に、この月見団子を食べることで健康と幸福を招くとされ、また、ぶどうなどツルのあるものを一緒に食べると、お月様との繋がりが強くなるともいわれています。秋の夜長の二十七日、日々の収穫に感謝して、ゆっくりと輝く名月を愛でる時間をとってみてはいかがでしょう。