和菓子と歳時記

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立春 桜餅 鶯餅

ことのほか、日本人は古来より春を愛おしむ民族のように思われます。季節の始まりである立春、立夏、立秋、立冬はいずれも節分ですが、とりわけ立春だけは「立春正月」といわれ、この日を境に今年の気が流れ始め、年が改まるとされます。そのため、前日の夜に豆をまき鬼(厄)を祓い、福を呼び込む風習が今も各地で行われているのです。禅宗のお寺では「立春大吉」と書かれたお札を門に貼り、今年一年の無病息災を祈念して厄除けとされます。また日本酒の蔵元では、「立春朝搾り」といわれる立春の日の朝に搾り上がったばかりの生原酒を生まれたての春を祝うを祝い酒として販売するところも多いようです。和菓子では、その日の朝に作られた生和菓子を「朝生菓子」といわれ、季節を問わず数多くありますが春を愛でる朝生菓子として桜餅や、鶯餅がよく知られます。春が近づくと、それを合図するかのように日本各地で華やかに咲き広がる桜の花。美しく桜が咲き始め春が来たことを知らせるかのように高らかに誇らしげな声で鳴く鶯。いずれも日本人の心に待ち焦がれた春を告げ、愛でられています。和菓子店の店先に桜餅や鶯餅が並び始めると春はもうすぐそこ。立春の日の朝に作られた桜餅や鶯餅は一層特別で、口福まで呼び込んでくれるように感じてしまいます。

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