和菓子と歳時記

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夏越の祓 水無月

ころころと変わる六月の空模様。十日には入梅を迎え雨雲がまだ途切れぬ間に二十一日は夏至となり、季節が夏へと移り変わっていくのをはっきりと感じます。そしてまた、六月の末日は、この一年の前半最後の日。正月から半年間の穢れを祓い、この後の半年間の無病息災を祈願する「夏越の祓(なごしのはらえ)」が日本各地の神社で執り行われます。年末の「年越しの祓」と対となる日本古来より大切にされてきた行事のひとつです。神社によっては、茅(ちがや)を束ねた大きな輪が境内に作られ、それをくぐることで厄を落とすとされる「茅の輪(ちのわ)くぐり」が行われます。そして、この一年の大切な節目の日には、その名も「水無月」という白いういろうの上に小豆をのせた三角形のお菓子が食べられます。古来、暑気払いに冬のうちに保管されていた氷が氷室より出され宮中に献上されたことに習い、その氷に見立て三角形に包丁を入れたういろうに、邪気を祓うと信じられてきた小豆をのせたお菓子で、宮中の氷片のように涼をとったつもりになるよう庶民の間で広まったものです。いよいよ今年も折り返し。残りの半年間も健やかに過ごせるよう、古来からの風習に触れてみてはいかがでしょう。

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