和菓子と歳時記

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十三夜 栗・芋・大豆

秋は夜空に輝く月がもっとも美しくなる季節。九月には中秋の名月、スーパームーンと夜空を見上げ、初秋の月を堪能された方も多いでしょう。中秋の名月である十五夜の月を愛でるのはよく知られたところですが、このお月見観賞、十五夜だけで終わりにしては「片見月」といって縁起が悪いとされています。十五夜のお月見をしたのならば、中秋の名月の次の満月となる十三夜の「後(のち)の月」も同じ場所でお月見をしなければならないという習わしがあるのをご存知でしょうか。
この十三夜は、お供えするものにちなんで「栗名月」「芋名月」「豆名月」とも言われます。団子十三個と栗やさつま芋、里芋、大豆などの秋の農作物の収穫を感謝して月にお供えするのです。お供えだけでなく、例えば栗は体を温めるのに効果的な食材として知られます。暑かった夏から冬に向かう季節である秋にしっかりと体を温め、生命力を補う食材として栗は効果的ですので、十三夜のお月見観賞のお供に栗ごはんや、栗をつかったお菓子などで楽しまれてみるのも良いですね。
春の七草は“食べて”楽しみますが、秋の七草である「萩・すすき・桔梗・撫子・葛・藤袴・おみなえし」は“見て”楽しめる美しい草花ですから、揃うものだけでもお供えとして一緒に飾り秋を存分に愛でたいものです。
今年の十三夜は十月二十五日の夜。「十三夜に曇り無し」との言葉どおり、空が澄み渡って美しい月が拝めますように。

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