連載:すずなり

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連載:すずなり

なついちごなつみずき

なついちごなつみずき

 

果物の中で常に人気を誇るものといえば、苺。真っ赤な彩りも鮮やかで、甘みの強い苺はそのまま食べても、お菓子の材料としても人気が高い果物のひとつ。鈴懸の人気商品の定番ともいうべきお菓子も、やはり苺大福です。とはいえ、苺の旬は冬。旬の素材ならではの美味しさをお菓子づくりにいかす鈴懸では「まだ食べたい!」と仰っていただけるお客様の声に後ろ髪をひかれつつも、苺の旬が終わる4月の上旬には人気の苺大福も販売期間は終了となります。

 

なついちごなつみずき

 

そんなとき、ふとしたきっかけで出会ったのが「なつみずき」という品種の苺。定番の苺大福で使われる苺は、鈴懸の本社や工房のある福岡県で生産される「あまおう」で、「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字を取って命名されただけあり玉が大きく糖度が高いうえ少しの酸味があり、苺大福として仕上げれば、小豆のこしあんと相まってより苺の甘みが引き立つ美味しさです。一方、「なつみずき」は北海道産の苺。苺の産地としてはあまり聞き慣れない北海道ですが、広大な北の大地で8年もの年月をかけて品種改良を重ねつくられたこの苺を店主が最初に口にしたとき、これまで知っている苺の味わいとはまた違う、その美味しさに驚いたといいます。夏苺というと、これまでの印象では少し酸味が強い印象を持っていたのですが、この「なつみずき」は糖度も高く果肉はしっかりとしていて、その断面は白く美しく、ほのかな酸味がどこか爽やかさを感じさせます。追熟しない苺のため、さっぱりと後味が良いのも印象的です。

 

なついちごなつみずき

 

今の時代、旬が春先に終わってしまうとはいえ、一年中手に入る苺。でも、旬を過ぎた苺を使用してわざわざ商品化するまでもないと感じていたのです。鈴懸では季節感を大切にし、旬だからこそ、その時に味わえる美味しさをお菓子という形で表現することを心がけているからです。まさにこの「なつみずき」は夏が旬の苺。この苺と出会ったからこそ、夏ならではの苺大福をつくろうと思いたったのです。夏にも苺大福を販売したいから見合う品種を探したのではなく、この夏が旬である「なつみずき」と出会ったからこそ生まれた「なつみずきの苺大福」。今では、こちらの方が好きだと仰るお客様もいるほどに、夏の人気商品として定着してきました。冬には冬の、夏には夏の、その季節らしさを感じることができる美味しさ溢れる苺に鈴懸特性のこしあんと合わせ、そっと包んだ大福。今年も「なつみずきの苺大福」が店頭に並び始めました。西日本の方には「なつみずき」という品種自体、まだ珍しいのではないでしょうか?夏にしか味わえないこの味を、ぜひご堪能ください。

 

 

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