【七五三】
七五三 千歳飴
風に秋の気配が混じる頃から、神社や写真館などでは晴れ着にその小さな体を包んだ幼い子ども達を見かけます。十一月十五日は七五三。旧暦の十一月は秋の収穫を氏神様に感謝する月であり、その月の満月にあたる十五日に数え歳が縁起の良い陽数(奇数)となる子どもの成長を氏神様へご報告し感謝したものなのです。最近では、この日を待たずに神社へのお参りや写真撮りを済ませるご家族も多く見られますが、七五三が十一月十五日に定められているのは、こんな訳なのです。また、「七つ前は神の子」とも古くは言われていたように、七歳を境に氏子入りをし、社会の一員として認められるようになるため、子どもに自覚を与え、親の過保護を戒める行事でもありました。三歳、五歳、七歳は陽数であるとともに、この歳は体調が変わる年齢でもあり、七五三には髪置きの儀、袴着の儀、帯解の儀と、それぞれの歳の子どもの成長を示す節目の儀式も行われていたのです。これらの儀式を迎える度に、昔の人は我が子の成長に安堵し、目を細めていたのかもしれません。そんな親の思いをよそに、今も昔も七五三を迎える子ども達が楽しみにするのが千歳飴。これは、その名の通り千歳までも元気に長生きするようにとの思いが込められた縁起もの。袋には松竹梅や鶴亀が描かれ、紅白に染め抜かれた飴は粘り強く細長い形をしています。子ども達が喜ぶ飴にも親の思いや願いが込められ、意味があるのです。七五三とは子どもの成長を喜びながら、過保護にせず大人として成長していく子ども達を見守っていく親のけじめの日でもあるのかもしれません。