和菓子と歳時記

【炉開き】

炉開き 亥の子餅


旧暦で霜月と呼ばれる十一月。実際には秋がいよいよ深まる頃となりますが、暦の上ではすっかり寒さをまとったように感じます。亥の月 亥の日 亥の刻に、古くは亥の子祝いというお祭りがあったのをご存知でしょうか。現在でも西日本ではこの風習が変わらず残る地域もあるようです。亥の月 亥の日は今年でいうと十一月八日にあたります。多産のイノシシにあやかり、子孫繁栄、無病息災を願って行われた祭りです。この祭りで食べられるのが亥の子餅。その年の新米に、穀類などを粉にして混ぜ餅にし、イノシシの子どもであるうり坊に姿を見立てたお菓子です。また、この亥の子祝いと同じ日にお茶の世界では夏向けの風炉がしまわれ炉開きを行うため、茶人の正月ともいわれます。初夏に摘んで寝かせていた新茶もこの日、初めて使われ始めます。亥は陰陽五行説で「水」にあたるため、火に強く火災から逃れられるといういわれから、この日に炉を開き、また家庭でも囲炉裏に火を入れたり、こたつを使い始めたりされてきたのです。霜月を「そうげつ」とも読み、霜が降りた夜の月の光など美しく表現されることもあるように夜空も冴え、美しく月が光り輝く時期でもあります。暖房器具など冬の支度を亥の月 亥の日に整え、夜はゆっくりとお茶と亥の子餅をいただきながら、冬の静かで美しい月を楽しんでみてはいかがでしょう。

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