【霜月】
象る
街路樹をひらひら舞う銀杏の葉や
誇らしげに咲き誇るほどに儚さを纏う桜の花びらや
のびのびと月に暮らすうさぎの姿
美しくかたどり
菓子に映し
目にした刹那の美しい姿を愛おしむ
かたどる道具を眺めると
浮き上がった姿の周りに幾重にも広がる削りあと
この削りあとの
強かったり弱かったり
曲がったり真っ直ぐだったりする線に
ひらひらだったり
儚さだったり
のびのびだったりが見え隠れする
かたどられた意匠は
情景を美しく雄弁に物語るが
美しいとかんじた姿を表そうとした人の
思いの行き交いが感じられる
道具もまた雄弁なのである