【正月事始め】
年の暮れの事始め お事汁
二○一六年もすでに足早に去っていこうとしています。旧暦十二月八日は「事始め」といい、来年の歳神様をお迎えする正月の準備を始める日とされます。この日に年越しの神事も始まります。また、新年の二月八日までには後片付けを終えなくてはならず、「事始め」と対をなして「事納め」と言われます。この十二月八日と二月八日をまとめて「事八日(ことようか)」と呼ばれ、この事八日の両日には無病息災を祈って「お事汁」が食べられます。「事」とは主に祭事のことをいい、事の神は「田の神・農の神」のことを指しています。冬至にも無病息災を祈り、食べられる南瓜や、大根、こんにゃくなどですが、お事汁にもこれらの野菜や小豆、人参、芋などの栄養豊富な冬野菜をたっぷり入れ、味噌汁として食べられます。寒い本格的な冬の最中に、しっかりと栄養をとりながら、やがて来る新年への準備を滞りなく行う行事。古の先達は、こうして暦の上で行事を意味付け、常日頃から季節に寄り添って体を労わり、神に感謝することを忘れずに丁寧に過ごしてきたのでしょう。せわしない現代に生きる私たちこそ、先達が残してくれた日々の節目の習わしを大切にして、日々を過ごしていくことが大切なのかもしれません。