和菓子と歳時記

【睦月】

人日 春の七草


日本人が昔から口にしてきた食べ物は、その食材自体の栄養素や効能を体に取り入れるだけでなく、暮らしのなかで慣しとして年中行事に食したり、神事に由来するものなどさまざまです。食材の名前や、調理名に願いを込めたり、形そのものに意味を持たせたりと、私たちの日々の過ごし方や営みに深く関わる食。そんな食べ物と暮らしの関わりについて、今年の“つれづれ歳時記”では歳時記と絡めながら食養生についてや行事食の意味、暮らしへの取り入れ方をご紹介して参ります。
年があらたまり、七日目に五節句のうちのひとつ「人日」を迎えます。この前日、六日は寒さが本格的となる「小寒」、そして後の二十日には一年のうちで最も寒いとされる「大寒」となります。この寒さが厳しい時期の節供である一月七日の人日は「七草の節句」や「七種の祝い」ともいわれ、春の七草である、せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな(蕪)・すずしろ(大根)が入った七草粥を食べ、今年一年の無病息災と五穀豊穣を祈ります。この人日は、七十二候では芹がすくすく群れ生えるという意味の「芹乃栄う」の頃で野草が芽吹き始める時期であり、若芽の力強さにあやかったり、また正月に疲れた胃を整えるともされています。最近では自ら野に分け入らずとも、七草がセットとなって売られてもいますので、上手に利用して、ぜひこの時期に春の七草を体に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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