和菓子と歳時記

【春分】

春のお彼岸 ぼた餅


お彼岸にいただくお菓子といえば、ぼた餅。この“ぼた餅”は春のお彼岸での呼び名。今の時期に美しく咲き誇る牡丹の花を映し、丸く大きく作られるのがぼた餅です。一方、同じお菓子でも秋のお彼岸の時には“おはぎ”と呼ばれます。秋風に揺れる萩の花に似せ、ぼた餅よりも小ぶりに仕上げ、楕円形に作られます。さらにこのぼた餅とおはぎは、形だけでなく使われる小豆にも違いがあるのです。“ぼた餅”はこし餡。“おはぎ”はつぶ餡。その訳は、材料となる小豆の収穫時期が秋のため、穫り立ての皮の柔らかい小豆を使うことのできるおはぎには、皮ごと潰してその食感も楽しめるつぶ餡で作り、少々小豆の皮が固くなってしまっている春の時期に作るぼた餅は、こし餡で作られるのです。小豆には解毒作用も期待され、利尿作用があり、むくみの解消などにも用いられます。しかも、むくみを解消する効果が期待できる食材には身体を冷やしてしまうものが多い中で、小豆は身体を温める効果があるので、女性には特に嬉しい食材とも言えます。春は芽吹きの時期。人も自然と同じリズムで生きていますから、木々の新芽が芽吹く頃は、人の身体の中でも陽の気が巡り、色々な変化が起こります。春に不調を訴えることが多いのはそのせい。しっかりと小豆など解毒作用のある食材を取り入れて、柔らかな気持ちのよい季節を笑顔で楽しみたいですね。

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