和菓子と歳時記

【皐月】

しあわせな空気


工房に蒼く爽やかな香りが立ち込める

季節がはっきりと変わったのだと
鼻の奥で感じ取る

手のひらに笹の葉を広げ
真白な餅をくるりと包む

真白で無垢な男の子を
大切に愛おしみ
その手に抱くようにくるりと包む

この粽は
どの男の子の笑顔のもとに届くのだろう

ふと頭をよぎり
思わず頬が緩む

祝い菓子をつくる季節は
いつもと同じ工房なのに
なんだか少し
しあわせな空気が漂っている

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