和菓子と歳時記

【水無月】

雨薫る それぞれの晴耕雨読


水無月は雨が多いのに、なぜ“水が無い月”と書くのだろうとお思いでしょうか。それは陰暦の六月は田に水を張り、田植えをする時期であることからの“水の月”。“無”は無しではなく、“の”という意味の連帯助詞の“な”とされますが、一説では梅雨時期のため、天の水が無くなることから水無月とするとも言われています。稲や麦などの穂が出る穀物の種を蒔く“芒種”の時期を迎えると、各地で梅雨入りの知らせを聞き始めます。鈴懸本店がある、ここ福岡では例年に比べ10日も早く、すでに梅雨入りとなりました。雨が多い時期といえども、現代の生活ではなかなか晴耕雨読を楽しむ生活は難しいもの。とはいえ、雨は鬱陶しいものばかりではありません。草花にたまる雨粒は、その草花ごとに水の輝きや宿る雨粒の大きさも違い、それは美しいものです。乾いた大地が湿れば、その土地ごとの匂いを感じます。五感を研ぎすませれば、ひと雨ごとに濃くなる夏の気配を感じ、日ごとに変わる季節の移り変わりに気づくでしょう。湿気が溜まらないようお香を楽しんだり、家でゆったりと好きな音楽を聴くなど、雨の日ならではの過ごし方で日々の生活を潤してみるのも、この時期ならではの醍醐味かもしれません。

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