【小暑/大暑】
先人の知恵で暑気払い
梅雨もだんだんと明け始める六月の末頃から白南風(しらはえ)と呼ばれる南風が吹き、やがて迎える七夕の日は二十四節気の「小暑」で暑気入り、そして七月二十三日に一年で最も暑いとされる「大暑」となります。この小暑から大暑の間を暑中と呼び、暦の上でも本格的な夏の到来を告げています。気温が25℃を超えると夏日と呼ばれますが、最近では日本全国のいたる地域で35℃を超す猛暑日が続くことも珍しくありません。この暑中の頃は、春夏秋冬の年四回ある土用の中でも昔から夏土用とされ、特に健康を気遣うための食養生の習わしが続いています。広く知られているのは土用の丑の日に鰻を食べる習慣でしょうか。一説ではこの夏の土用の丑の日に「う」がつく食べ物を食べると夏バテをせずに乗り切れると言われ、鰻のほかにも梅干しや、西瓜(すいか)や胡瓜(きゅうり)などの瓜を食べるのも良いとされています。
この暑さ厳しい暑中の時期に、お世話になっている方々への夏のご挨拶として、精のつくものや涼を感じていただけるお中元の品をお贈りしたり、暑中見舞いの葉書を出したりするのも、相手を気遣う日本人ならではの美しい習わしです。いよいよ本格的な夏の到来。先人の知恵に倣い、湿度が高くて長く続く日本の夏を、健やかにお過ごしいただけますように。