tatamize koromogae

連載 すずなり

薫風爽やかな初夏となり、衣替えをされている方も多いのではないでしょうか。衣替えには単純に衣服を入れ替える作業というわけではなく、季節を先取りすることで快適に過ごす意義が大きいように思います。鈴懸のお菓子も色々な想いやタイミングで衣替えをしています。この5月の下旬には「tatamize」の外箱が装いを新たにすることになりました。図案は「castilla(カスティラ)」の外箱も施していただいた佐賀県有田町、辻精磁社の辻浩喜氏です。辻精磁社ならではの呉須の青と白を用い、箱の天面には鈴懸だけの紋として「鈴懸更紗紋様」と名付けられた鈴懸(プラタナス)の実の紋様が美しく連なります。側面には円(縁)が四方八方に広がる吉祥紋「南蛮七宝柄」が繋がります。

 

九州・福岡の地でお菓子屋を営む者として、少なからず材料やお菓子そのものの成り立ちなど大陸からの影響を強く受けてきたことを肌に感じてきた鈴懸店主は、その感覚をとても大切にしてきました。食べ物やその味わいだけでなく、紋様や形・型などにも、その成り立ちには漢字を用いる民族だからこそ感じ取ることができる文字のもつ意味合いと共に人々の想いまでもが伝来し、共鳴して連綿と今に続いていることも面白く感じています。ある日、店主はチョコレートの小箱を開けた時、色々な味わいのチョコレートがそれぞれ違った形でありながら美しく収まっている姿を目にし、「この小さく美しいチョコレートの世界を、和菓子でも表現してみたい。」と強く感じたことがありました。後に円を“縁”とし、連なることで円満、子孫繁栄を表し、円と円の間にできるダイヤ柄は光る星などに感じ取れる、美しい形の連続から成り立つ「南蛮七宝柄」を知った時、この異国情緒溢れるモダンな柄に惹かれ、チョコレートから感じ受けた美しさを和菓子に表現したいと生まれたのがtatamizeです。大陸の風を受け、人々の繁栄を願う意味合いを持つ紋様。この日本らしい規則性のある連続した並びの美しさでお菓子に表すために、端々の線や厚み、膨らみに気を配り、鈴懸ならではの菓子の木型をおこしたのが20年ほど前のことでした。

tatamizeは、この南蛮七宝柄を型にとった口当たりの良い3種の味でなる干菓子として誕生しました。円は、黒胡麻と黄粉の2種の味、ダイヤには運を運ぶ縁起物とされる南瓜の種が入っています。干菓子というとお茶会の席で抹茶と一緒にいただくものといったイメージを持たれる方も多いかと思いますが、このひと口サイズのお菓子は、コーヒーや紅茶、または緑茶など普段のお茶を楽しむひとときのお茶菓子として気軽につまんでいただくにもふさわしい一品です。お好みの飲み物と組み合わせ、ほんのり甘く口の中で柔らかくほどける味わいをお楽しみいただければと思います。

「tatamize(タタミゼ)」という名前は、フランス語の“tatamiser”(畳の上での暮らし=日本風の暮らしをフランスの生活に取り入れる)という意味からくる造語に起因します。今では暮らしぶりだけでなく、日本の文化を取り入れることに“tatamiser”が使われることもあるようです。色々な国の影響を受けながらも日本らしく解釈をし、美しく昇華させることで、さらにまた異国の地に日本らしさとして広まるタタミゼであるよう、鈴懸のtatamizeは大陸の風を受けた文化や味わいだからこそ表せる日本らしい姿で存在させたいと思います。この初夏に衣替えをして登場するtatamize。箱も中身も鈴懸らしく日本的な型遊びをした、連続する縁起尽くしのお菓子を、ご自身がゆっくりと過ごされるひとときやお手土産、お祝いのお品などに広くお楽しみください。

 

※「tatamize 」は、5月20日〜6月10日までの販売となります。

 

 

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