可愛い菓子には旅をさせよ

連載 すずなり

お菓子を贈り物にされるとき、鈴懸では白い貼箱か、商品によっては籠・行李(こうり)に詰めてお渡ししています。行李とは、竹や柳で編んで作られた蓋付きの葛籠(つづらかご)の一種で、荷物そのものや、食料や衣料の入れ物のことを言い、軽くて丈夫なため蓋が盛り上がるほど多量に入れることもでき、昔は旅の荷物入れとしても重宝されていたようです。鈴懸で贈答用お菓子の入れ物として籠を用い始めたのは、25年も前のこと。最も古くから鈴懸定番の商品として今も姿を変えずに店頭に並ぶ「鈴乃最中」や「鈴乃○餅」を籠に詰めた「すず籠」「○籠」「○すず籠」は、お遣い物として人気をいただいています。オンラインでも販売している「百菓行李(ももかこうり)」は、「草月」や「かの実」「心葉」などのお菓子の組み合わせや個数を変えて行李にお詰めしている商品です。「百菓行李」は商品の組み合わせ違いで数種ご用意しておりますが、店頭であれば、お客様にお選びいただいたお好みの商品を籠や行李にお詰めすることもできますので、ご要望の際は店員にお申し付けください。ただ、生菓子はお詰めできかねますのでご留意くださいね。

今では籠に詰め合わせたお菓子を、鈴懸の代表菓子のように思ってくださるお客様も多く、またお菓子を楽しまれた後の籠を小物入れなどとして長くご愛用いただいている方もいらっしゃるようです。ですから時にはご自宅用として籠にお菓子をお入れしてお求めになるお客様も。これは、私たちにとってはとても嬉しいことなのです。昔は‥‥いえ、今の時代でも、ご自宅でクッキーやお煎餅などが入っていた美しく装飾されたブリキ缶やアルミ缶を、裁縫箱や小物入れにして大切に長く使い続けている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。鈴懸店主の家にもそういった長く愛用している美しい箱があり、鈴懸のお菓子の詰合せも、そのようにお菓子を召し上がられた後でも長くお使いいただける容器でご提供したいと思ったことが籠を用いる始まりでした。お菓子を召し上がられた後、籠は皆様のお好きな使い道で長くお楽しみいただきたい。ですので、鈴懸の籠や行李には「鈴懸」の店名のロゴはどこにも入っておりません。

前述のとおり、丈夫に編まれた籠ですので、多少重量のある物でもしっかりと保管できるのです。春や夏には生成色の籠で、秋や冬には茶色の籠をご用意しております。

これからの季節、柚子や人参、金柑といった色鮮やかな野菜や果実を和三盆で蜜煮した「菜々菓」を茶色の籠に詰めると美しく映え、季節の贈り物としても最適ですので、ぜひお試しください。丹精込めたお菓子たちが、籠や行李、貼箱に入って様々なお客様のもとへ旅をする姿を嬉しく思いながら、今日も店頭で見送っております。

連載 すずなり

オンラインショップ鈴懸オンラインショップはこちら