鈴懸の本店がある福岡は、梅雨の気配がする重たい雲がたちこめる日が多くなってきました。時折吹く風は湿気を含んで少し冷たく、どこか雨の香りを感じます。この頃から店頭には夏に向けての涼菓子がだんだんと並び始めます。冷やすことで一層美味しくなる、あんみつやゼリーが並ぶ中で、ひと際爽やかさを放つお菓子が「大葉餅」です。
「大葉を使った和菓子?」と、その組み合わせの妙に味の想像がつかず、まだお試し頂けていない方もいるかもしれません。確かに大葉、そのものを使ったお菓子は珍しいですよね。糯米の中でも粘りがあり、白さが美しいのが特徴の佐賀県産ヒヨクモチをふっくらと蒸し上げて、ほのかな甘さのこしあんを包みます。それを今が旬の青々とした鮮やかな緑色をした大分県産の大葉で挟んだお菓子が大葉餅です。今では一年中、手にすることができる大葉ですが、旬は初夏から秋まで。特に夏までの今の時期は特に香りが強く、葉も葉脈も柔らかで口当たりが優しいのも特徴です。爽やかな芳香の大葉に挟まれた柔らかな糯米とこしあんは、なんとも絶妙な一体感で唯一無二の美味しさをもたらします。桜葉餅を塩漬けの葉の風味も一緒に楽しむことが好きな方は、きっと抵抗なく大葉餅の美味しさを容易に想像いただけるのではないでしょうか。
雨の日は鈴懸へいらっしゃいませんか?長い雨が続き、暑い夏へと移り変わる、鬱々とした空気を一掃するように葉に水を打った緑鮮やかな大葉餅でお迎えいたします。大葉が優しく爽やかさに、ほんの少し気分を軽やかにしてくれるかもしれません。大葉は防腐効果も期待されますので、この時期のお遣いものにもおすすめです。甘く爽やかな大葉餅は熱狂的なファンも多く、発売が開始となるのを心待ちしてお問い合わせいただく方もいらっしゃるほどです。お持ち帰り頂いた際は食べる直前に少し葉に水を打っていただくと、みずみずしく香りが立ち、一層美味しくお召しがりいただけます。