だんだんと陽射しが強くなり、気温が上昇するにつれ、今年の夏の暑さが容易に想像がつくようになってきました。年々暑さが増すように感じるこの頃ですが、日々の暮らしのなかで涼を上手に取り入れていきたいものですよね。
鈴懸からおすすめの涼を楽しむお菓子のひとつが、蕨餅です。上生菓子のような華やかさは無いのですが、実ははじまりは平安の頃からとされるほど、古くから長く親しまれているお菓子なのです。特徴的なのは和菓子の中でも珍しい、ぷるるんとした柔らかな口当たり。これは原料である蕨の根から採れるデンプンによるものです。蕨餅の中には、本蕨粉と蕨粉で作られるものがあります。本蕨粉とは、蕨自体が水も空気もきれいな環境しか育たない中で、小さな蕨の根からわずかしか抽出できないデンプンを取り出し、乾燥させてつくるため、とても手間がかかるもので大変貴重なものとなります。一方、蕨粉はサツマイモや葛粉のデンプンを主な原料としたり、それらを本蕨粉に合わせて作られたものとなります。
本蕨粉は黒っぽい色をしており、本蕨粉だけが持つもっちりとした独特のコシがあり、ぷるんとした弾力のある口当たりはなんともいえません。しかも蕨餅には疲労回復の栄養成分も含まれているため、冷やした蕨餅のつるりと滑らかな口溶けは、暑い時期にとっておきの涼菓となることでしょう。
鈴懸はこんな暑い時期にこそ食べたい蕨餅を4種ご用意しております。しっかりとしたコシと弾力をいかしてつくる「本蕨餅」は、角形に切り揃え、2つずつ串で刺した食べやすい形状です。たっぷりとまぶした深煎りの黄粉と相まった風味の本格的な味わいです。
「抹茶餡わらび」の餡は、あっさりとした味わいが美味しい白小豆のこしあんに、福岡県八女の香り高い抹茶をあわせ、抹茶の風味が濃くいきた抹茶の餡を本蕨で包みました。表面にもふわりと抹茶をかけていますので、清々しい香りが楽しめます。
「餡わらび」は、柔らかくのばした本蕨で、あっさりとしたこしあんの餡玉を包み込んで仕上げています。ふわりとかけた黄粉と、もっちりとした蕨、こしあんの優しい甘みが一体となって食べ応えがあり、満足感の高い一品です。アルミ容器に入った「蕨餅」はそのまま冷蔵庫で冷やしていただけ、お日持ちも長いため、贈り物としても人気です。九州産の本蕨粉を使用した鈴懸の蕨餅。それぞれ販売期間が異なりますので、時期に合わせて、今年の夏は色々な蕨餅の本格的な味わいを楽しんでみませんか。