春はわくわく

連載 すずなり

全国天満宮の総本宮として知られる太宰府天満宮。云わずと知れた学問の神様、菅原道真公をお祀りするこの天満宮は、道真公の伝説の中でも語られる御神⽊の⾶梅をシンボルとしています。そんな梅とうぐいすをモチーフに5種の異なる型が収まった、何とも愛らしいお⼲菓⼦が天満宮の公式のお⼟産として販売されているのはご存知でしょうか。和三盆糖に梅、シナモンなどを使⽤したこのお⼲菓⼦は鈴懸で⼿掛けさせていただいています。

4つの異なる表情をした梅の中に、真正⾯を向いたユニークな姿で⽻ばたくうぐいすが1⽻。この図案は福岡出⾝の陶芸家で、今や世界中に活躍の場を広げられている⿅児島睦さんの⼿によるものです。この太宰府天満宮が結びつけてくださったご縁をきっかけに、鈴懸と⿅児島さんは出会いました。今回、新たな試みをご⼀緒させていただくこととなり、福岡市⾚坂・けやき通りにある⿅児島さんの素敵なアトリエで、お話しを伺ってきました。

⿅児島さんは陶芸だけでなく、版画やファブリックでもその独特の伸びやかなタッチが⼈気です。お⼈柄は作⾵そのままに、ゆったりと穏やか。話し⼝調もやわらかく優しさに溢れています。アトリエの⽞関を開けるとすぐに⽬に⾶び込んでくるのは、全て⼿作りされる器を焼くためのアメリカ製の電気窯が2 台。「まさか、ここで焼かれているのですか?」と思わず尋ねてしまったほど美しく掃除され、作品を⽣み出すための道具や筆、そして電気窯さえもまるでインテリアの⼀つのように整えられています。

明るい南からの光が射し、天井からはいくつものグリーンが気持ちよさそうに揺れる空間。以前、インテリアショップでマネージメントをされていた⿅児島さんの確かな⽬で選ばれ、「何だかいいな。好きだな。」という気持ちが詰まっているような家具たち、資料としてそばに置かれているたくさんの本やオブジェなどは、どれもほっこりするような雰囲気を纏い、作品のインスピレーションとなって⿅児島さんを助けているようです。

壁⼀⾯に貼られた作品のためのラフスケッチに囲まれたアトリエの⼀⾓のデスクに向かう⿅児島さんの後ろ姿は、国内外でのたくさんのプロジェクトに取り組まれている⼤⼈気の作家さんであることを忘れてしまうほど気負いが感じられず、まるでお絵描きが⼤好きな少年のままの姿のようにも思えました。(「いや、⾊々と苦悩したりして作品を⽣み出していることも多いですよ。」と本⼈はおっしゃっていましたが‥‥)鈴懸がお願いしたデザインも、この中で筆を⾛らせてくださったのかなと、楽しく想像しながら作業⾵景を垣間⾒せていただきました。

⿅児島さんご⾃⾝と鈴懸との出会いは、ずいぶん前にお知り合いからお⼟産でいただいたことで始まったのだそう。元々⽢いもの好きで、ご友⼈からも「体の中は⽣クリームが詰まってるんじゃないの?」と⾔われていたほど、当時は洋菓⼦が⼤好きだったのだとか。そんなある⽇、お⼟産で⼿にした鈴懸のお菓⼦をきっかけに和菓⼦の美味しさに⽬覚め、「⼤先輩⽅が渋いお茶に和菓⼦が美味しいんだよ。と⾔われていたのがしみじみと分かるようになりました。」と、今⽇も緑茶に合わせてどらやきを⼿にし、顔をほころばせてくれました。

お仕事でもよく海外に⾏かれるため、そのときの⼿⼟産に鈴懸のお菓⼦をお選びいただいているとのこと。海外の⽅はまず「鈴懸」という漢字のロゴを素敵だと気に⼊ってくださるようで、「漢字という成り⽴ちは象形から始まっているので、これも絵なんだよって伝えると、凄く⾯⽩がって熱⼼に⾒⼊られるんですよ。」と、そこから楽しい会話が広がることも多いのだとか。バレンタインのパッケージをお願いした際も、店主としては箱に鈴懸のロゴは⼊れずに⿅児島さんのイラストを思い切り⾃由に展開して欲しいと思っていたのですが、ロゴを美しいと感じてくださっている⿅児島さんは、それを排除することなくご⾃⾝の作画の中に融合させ、今のパッケージに仕上げてくださったのです。
さて今回の新たな試みはというと、鈴懸も出店させていただいている伊勢丹新宿店で、⿅児島さんと英国のテキスタイルブランド<Christopher Farr Cloth>とのコラボレーションで3⽉2⽇にインテリアアイテムが発表されます。そこで家具や、⿅児島さんの⼿がけられるプロダクションモデルのセカンドライン「MFL makotokagoshima」の器などに加え、この期間だけの限定で鈴懸とコラボレーションしたお菓⼦を⿅児島さんのご提案により販売してくださることとなったのです。
お菓⼦は鈴懸定番の「鈴乃◯餅」ですが、なんと今回は表に⿅児島さんの⼿による鈴と猫の焼印が施されたチャーミングな仕上がりとなっています。さらにショッピングバックまで、いつもの⽩地に「菓」の⼀⽂字ではなく、春の訪れを喜んでいるような表情をした⿃や蝶々、蜂などが舞い、鮮やかな花々で埋め尽くされています。こんな楽しい試みは鈴懸としても初めてのこと。バレンタインのパッケージと同様に、鈴懸のロゴを⼤切にしてくださる⿅児島さんのお気持ちから、従来の鈴懸のショッピングバックのデザインをそのままに、その上から描き加えていくという、⼤胆で他にはないこの時限りの展開を店主も⼤いに楽しんだようです。これこそ、まさにコラボレーション!こんな遊びは⼤歓迎の店主です。

期間も地域も限定とはいえ、いつもとは全く違う可愛らしくて華やかな装いの鈴懸のショッピングバックを⾒つめながら「これがお客様の⼿元で揺れていると思うとワクワクするよねぇ。」と、楽しげに想像を膨らましていました。今回は東京の⽅だけにしかお届けできない試みではありますが、今後も⿅児島さんと店主は皆様に喜んでいただけるような企みをしているようですので、どうぞお楽しみに!東京近郊にお住まいの⽅は、3⽉2⽇(⽔)から15 ⽇(⽕)、伊勢丹新宿店の本館5階センターパークザ・ステージ♯5で展開されるこの特別な機会を、ぜひお楽しみください。

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