はるうらら

連載 すずなり

鈴懸 連載すずなり はるうららいつの間にやら桜も満開となり、春の花々が美しく咲き誇る気持ちの良い季節となってまいりました。早速重たいコートを脱ぎ捨てて、今年はしばらくぶりのお花見に繰り出している方も多いのではないでしょうか。ふんわりとした柔らかい風を感じながら、満開の花々を眺めてそぞろ歩くだけでも気持ちのいいものですが、やっぱり外で食べる団子は格別!お花見に美味しいものは欠かせませんよね。

鈴懸 連載すずなり はるうらら春の到来を肌で感じながら花を愛でる風流を楽しみ、お気に入りのものを食べながら過ごす時間は、この季節ならではの特別なひとときです。例えば今の季節を映した上生菓子を持ち出して、外で楽しんでみてはいかがでしょう。固定概念はとっぱらって、食べたい時に、食べたいところで、思うように楽しんで欲しいのです。満開の桜を見ながら塩漬けされた桜葉に挟まれた「桜葉餅」を堪能したり、青々とし始めた芝生の上で「蓬乃餡餅」を頬張ったり、淡いピンク色した花びらの重なりや新芽の黄緑色が遠目に美しく感じられる場所で「うららか」を手に取れば、この季節ならではの風景の一部を切り取って表現した和菓子職人の想いまでも重なって見えてくるようです。でも「お花見をしたい!」と思っても、様々な事情で桜などの花が満開な時期に外出できないこともありますよね。そんな時こそ和菓子があれば、その時それぞれの季節を目でも舌でも堪能できるんです。季節の花を模した和菓子を選び、ご自宅のリビングやベランダで“和菓子で花見”を楽しんでみてはいかがでしょうか。これからの季節は次々と多く種類の花々が咲き始めます。そんな花々の様子を映した和菓子の世界も、次々と様々な種類の花で満開となりますので、どうぞ楽しんでいただければと思います。

鈴懸 連載すずなり はるうららさて、お花見など外出先で和菓子をお楽しみいただく際は、お懐紙と菓子切りさえあれば便利です。お懐紙も菓子切りも軽く、かさばるものではありません。紙を皿にし、菓子を切り分けて口に運ぶためのナイフにもフォークにもなるこのひと揃えは、極端に不要なものを削ぎ落とした中で“機能”も“美しさ”をも果たすことのできる、日本人ならではの合理性と美意識から生まれたもののように感じます。上生菓子をいただくならばお抹茶と一緒に‥‥と、どこなく「お茶席など、ちゃんとした場所でいただかなくては。」と、構えてしまう人も多いようでもありますが、それはその場での楽しみ方。普段は大いに“自己流”で、ふだんの暮らしを楽しんでみてはいかがでしょう。和菓子に合わせる飲み物がコーヒー、紅茶だって乙(おつ)なものですよ。暮らしの中に季節を感じたり、その移り変わりに目を留め、心を満たすお手伝いが和菓子を通してできればと、鈴懸はいつも考えています。先人の知恵でもあるお懐紙と菓子切りを懐やバックに忍ばせて、その季節ならではの和菓子を選び、今だけの気持ちのいい春爛漫の空気を感じに出掛けてみませんか?

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