どこかノスタルジーを感じる甘味の代表選手のあんみつですが、歴史は案外、新しいんです。みつ豆は江戸の頃から親しまれていたようですが、みつ豆に餡が添えられたあんみつは昭和に入って東京・銀座で誕生したとされています。とはいえ今も昔も変わらず、老若男女、好きな方も多いでしょう。多く食べられているあんみつは賽の目に切られた寒天に、シロップ漬けにされた缶詰のフルーツ、白玉や求肥と餡が盛られ、黒蜜や白蜜をたっぷり回しかけて食べる、甘い甘い甘味です。この、どこを食べても甘い、いわゆる昔ながらの東京生まれのあんみつと、鈴懸が提供するあんみつは少し様子が違います。鈴懸本店・茶舗で提供しているあんみつは、フレッシュな旬のフルーツに、ふるふるの柔らかな寒天が特徴。そしてシロップは黒蜜、白蜜に加え、鈴懸特製のメープルシロップからお選びいただけます。このメープルシロップとあんみつの組み合わせはあまり他ではないものですが、フルーツや寒天にはもちろん、あんことも相性が良く、自然の甘みで重たさを感じさせずに食べ進めることができ、おすすめです。
店舗でお買い求めいただけるあんみつは、旬のフルーツを季節ごとに変えて4月から10月に渡り登場します。そして、こちらの寒天も柔らかく仕上げられ、賽の目に切られることなくカップに収まっています。これは鈴懸の主人が幼い頃、ながし舟型いっぱいのできたての寒天を小さく切り分けることなく、そのまますくって食べた時の幸せな美味しさが忘れられず、そのままお客様にお届けしたいとの思いが形となったものです。ぜひスプーンいっぱいにすくって蜜を絡ませ、あんこと合わせ、ふるふるの寒天を頬張って食感を楽しんでみてください。
定番の「あんみつ」は、鈴懸ならではの柔らかな寒天に、旬を迎えたフレッシュなフルーツ、小豆本来の美味しさを感じられる北海道産小豆のあんこ、そして鈴懸特製メープルシロップの組み合わせをお楽しみいただけます。4月の上旬だけに登場するのは「苺のあんみつ」。この時期に甘さのピークを迎える福岡のブランド苺のあまおうを中心に、オレンジ、メロン、ブルーベリーを盛り合わせ、あっさりとしたこしあんにぜんざいを加えた小豆の風味を感じられる餡を添えています。こちらに合わせていただくのは、氷砂糖から作ったすっきりとした味わいの氷糖蜜のシロップ。フルーツそれぞれが持つ甘みや酸味を爽やかに引き立てます。9月の下旬からは「秋のあんみつ」が登場します。梨や柿、無花果、ぶどう、栗といった秋ならではの旬のフルーツに、ふっくらと炊き上げた北海道産のつぶあん。和三盆糖を使ったシロップで秋の果実の美味しさを一層引き立てます。ひと言で「あんみつ」と言ってもフルーツやあんこ、蜜の取り合わせで、こんなにも表情が変わるものなのかと驚かれることでしょう。どのあんみつにも優しく寄り添う鈴懸ならではのふるふるの寒天を存分にお楽しみいただくためにも、ぜひ、お持ち帰り後は冷蔵庫で冷やしてお召し上がりください。