ゆるりと喫茶去

連載 すずなり

鈴懸 連載すずなり ゆるりと喫茶去「喫茶去(きっさこ)」という言葉をご存知でしょうか。お茶席の掛け軸などで目にすることも多い禅語で、「喫」は飲む、「茶」はお茶、「去」は去ることを意味します。お茶を飲んで去る!?意味不明な言葉に感じますよね。実はこれは、どんな方にも分け隔てない心でお茶を点てる禅の心を表し、もちろんこの言葉に込められた意味は深くあるのですが、現代では「まぁ、お茶でも飲みましょう」といった意味として用いられています。もてなす方は、いつでも誰にでも同じ心をもってお茶を点て、いただく方も好き嫌いと分け隔てせず、平常に心を持ってお茶をいただく時間を愉しみましょうといったところでしょうか。
鈴懸 連載すずなり ゆるりと喫茶去お茶を飲むのは、その文字通りにお茶を飲んで喉を潤すという行為ですが、そこには気持ちを落ち着かせたり、波だった心を平常に戻せたり、気持ちをリセットできるような効果があるように思います。今の世の中、いつも手にしているスマホからは、ありとあらゆる情報が音や映像や活字を伴って常に流れてきます。街中に出れば、目にする光景は1ヶ月前に見たものと明らかに違っているほど、特に都会の風景は目まぐるしく姿を変えます。SNS では遠く離れた友人や知り合いの“今”の姿が、会わずとも知ることができます。情報が、いつでも誰でも簡単に、割と一方的に入ってくる現代は、心がいつの間にか流れる情報のスピードにさらされて、思いもよらず疲れてしまっていることも多いのではないでしょうか。

鈴懸 連載すずなり ゆるりと喫茶去そんな日常で、1日5分でも「さて、お茶でも飲みましょうか」と、一息ついて心をリセットするひとときが持てたら、ずいぶんと心を軽やかにできるのではないかなと思うのです。そんなお茶のお供として、鈴懸からのご提案はお干菓子です。お干菓子はお抹茶と一緒にいただくものでしょう?なんて、敬遠されている方も多いかもしれません。でも、そんなことはないのです。要は、上質のお砂糖を固めたお菓子ですから、いただく方のお気持ち次第で自由に楽しんでくだされば良いのです。心をリラックスさせる方法として “少し日常から離れてみる” のも効果的。目を開けばたくさんの色が溢れる世の中で、ひといきのお茶をいただくとき、すっと無垢な木箱だけに目線を落とすだけでも心のざわつきが収まるような気がしませんか?鈴懸の「りん」は、そんなご自身の日常のひとときに愉しんでいただきたいお干菓子です。木箱の蓋を開くと、朱で留められた真っ白な薄和紙が並び、その中に小さな鈴の形をした和三盆のお干菓子が静かに一つずつ収まっています。一見、すまし顔の「りん」ですが、実は一つだけどこかに紅い鈴が潜んでいるのです。それを引き当てたら当たり!なんて、ちょっと楽しいですよね。

鈴懸 連載すずなり tatamizetatamizeも日常のお菓子としてお愉しみいただきたいお干菓子の一つです。南蛮七宝柄を表す円とダイヤ型にかたどられた阿波和三盆糖に黄粉や黒胡麻の風味を活かし、かぼちゃの種がアクセントとなっています。ただの四角や丸ではない、意味のある形が施された姿を愛でることも、ほんのりとした自然の優しい甘みを口の中で感じることも、きっと心をふんわりと落ち着かせてくれる作用があるように思うのです。 かしこまったり、大袈裟に構えることなく、誰かと一息つきたくなったらお干菓子を手にして訪ねてみるのも素敵です。茶道のお稽古やお茶席の時だけのお菓子ではなく、日頃の心を溶かすお菓子としてお干菓子を選んでみてはいかがでしょう。小さなお干菓子が口の中でほどけていく時間だけでも安らぐ時間が過ごせたら、少し気持ちが軽くなりませんか?さぁさぁそろそろお茶でも一杯、いかがでしょう。

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