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連載 すずなり

2024年は「辰」の年。辰はつまりは龍で、十二支の中で唯一空想上の生き物です。中国で古代より龍は権力の象徴とされ、今でも食器や家具など日常使いするものを始め、様々なものに縁起を担いだモチーフとしてよく用いられています。天高く昇る龍のように、辰年は陽の気が巡って活力が旺盛となり、運気が上昇する縁起の良い年とされています。鈴懸でも辰年にちなんだ縁起菓子が登場します。

鈴懸 連載すずなり 干支竿菓子草木が成長し、形がととのう年ともいわれます。そんな辰年を迎える2024年の干支棹菓子は「蒼の龍」。活力にあふれる龍の姿に、青々と茂る草木をひとつに重ね合わせ菓子に表しました。力強い龍の背を思わせながら、抹茶の浮島と上品な甘さの大納言のかのこ豆でしっとりと優しいお味に仕上げています。

鈴懸 連載すずなり 干支菓子神獣として崇拝され、誰も見たことのない龍の姿は、人々の強い願望や憧れの象徴にも思えます。干支菓子の「風が立つ」には、新春の穏やかに風立つ大空を悠々と舞う龍の姿を配しています。こしあんを包んだ薯蕷饅頭です。

縁起菓子を大切に包む神戸智行先生による掛け紙は、「恵の輪―辰―」。日本古来より龍は水や海の神としても祀られ、先人たちは五穀豊穣や健やかな生命の育みを願ってきました。自然の惠みへの感謝とともに、鈴懸のお菓子を手にされた皆様に良い運が訪れるようにと願いが込められ、鱗一枚一枚まで丁寧に描かれています。どうぞ手に取り、お近くでご覧になっていただければと思います。

鈴懸 連載すずなり 干支掛け紙さらに辰年の年の初めに向けて、2種の角最中のお汁粉が登場します。一つには辰の文字を、もう一つには松葉と梅の図案を焼印で押した縁起物。このお菓子限定の紙袋は、いつもの「菓」の字を九谷焼の上出長右衛門窯の六代目上出惠悟氏による龍の図案が取り囲んだ特別なもの。九谷焼の特徴である「五彩」と呼ばれる赤、黄、緑、紫、紺青の鮮やかな色合いが配され、紙袋全面を所狭しと龍が舞います。こちらは1月2日、3日の2日間だけの限定品です。なんだかいつもと違うあしらいに、龍の力を借りてぐんぐんと運気が上がっていきそうなパワーを感じませんか?

紙袋の文字を書いてくださっている書家の桑原呂翁先生や、掛け紙を手がけてくださっている日本画家の神戸智行先生、そして今回、年の初めの特別なお菓子でご一緒していただいた上出長右衛門窯の作品は、美術館で目にしたりと敷居も高く感じる方も多いかもしれません。そんな本物が持つ力強さと、確かな美しさを鈴懸のお菓子を通して軽やかに、日々の生活の中で感じていただければと思います。12月22日に冬至を迎え、この日は新しい一年の陽の気が巡る起点とされています。良いエネルギーを蓄えた龍が大きな眼を見開いて、もうすぐそばに来ているのかもしれませんね。どうぞ辰年も皆様にとって健やかで、そして龍の力を借りていつも以上に良い運気が駆け巡る一年となりますように。

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